最近、自分のやり方を見直してみようと思った話
企業広報の仕事をしていると、取材をする機会が本当に多い。お客様の導入事例を書いたり、経営者の方にお話を伺ったり。毎回「今日はどんな質問をしよう」と考えているのだけれど、ふと気づいたことがある。
「あれ、私、なんとなくで質問リスト作ってない?」
経験や勘も確かに大切だと思う。でも、もう少し戦略的に、データに基づいて考えてみたらどうだろう。そんな思いから、ちょっと遠回りかもしれないけれど、GA4のデータを使って取材の質問を考えるという方法を試してみた。
今日はその過程を、思考の整理も兼ねて書いてみようと思う。
これまでの私たちの現実
正直に言うと、これまで私たちチームは「とりあえず事例ページを作ろう」という発想で動いていた部分があった。もちろん悪気はないのだけれど、明確な戦略があったかと言われると、少し自信がない。
「導入事例は多い方がいいよね」 「お客様に喜んでもらえそうだし」 「営業の人も使えるかも」
こんな感じで、なんとなく良さそうだから作っている、という状況だった。
でも、幸いなことに私たちにはGA4でデータを取れる環境がある。せっかくなら、このデータを活用して、もう少し読者の方の気持ちに寄り添った記事を作れるんじゃないかと思った。
実際にやってみたこと(少し細かく書きます)
まずはセグメントを作ってみる
GA4の探索レポートを開いて、セグメントを作ることから始めた。
「新しいセグメント」→「ユーザーセグメント」を選択。
条件設定では、もしGA4でコンテンツグループを設定している場合はそれを使って、設定していない場合は「ページパスとスクリーンクラス」を選択して、共通事項のあるページのパスを入力する。
私たちの場合は事例ページなので、URLに共通して含まれている文字列を探して設定した。この作業、地味だけれど結構重要だと思う。
視覚的にわかりやすくするために、セルタイプをヒートマップにして、フィルターでは「ページパスとスクリーンクラス」で「含む」という条件で該当するURLを記載した。色で表示されると、やっぱり見やすい。
自由形式でレポートを作ってみる
次に、自由形式でレポートを設定。
行は「ページパスとスクリーンクラス」、表示は25行にして、値として以下を設定した:
- 表示回数
- アクティブユーザー数
- セッションあたりの平均エンゲージメント時間
- アクティブユーザーあたりのビュー数
この中でも、特に注目したのが「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」。なぜかというと、今回の目的は取材の質問リストを考えることだから。
なぜエンゲージメント時間に注目したのか
私たちが扱っている製品は、正直言って単価が高い。だからこそ、購入を検討してくださる方は、じっくりと情報を読み込んでくれる傾向にある。
そう考えると、長い時間をかけて読まれている記事には、きっと何か読者の心を掴む要素があるはず。パレート法則(2:8の法則)を使って、エンゲージメント時間上位20%の記事を見つけて、その内容をAIに分析してもらった。
すると、面白いことに共通する要素が見えてきた。これを質問リストの「必ず聞くべき項目」として整理することにした。
もちろん、ある程度は事前に質問の方向性は考えている。でも、現在の読者の方がどんな内容に興味を持ってくれているのかを知った上で質問を練り直すことで、より響く記事が書けるんじゃないかと思った。
私が大切にしたい記事の方向性
取材をする時、製品の導入理由や効果について聞くのは当然大切。でも、それだけじゃなくて、その方がなぜその事業を始められたのか、どんなきっかけがあったのか、そういうストーリーも聞かせていただきたいと思っている。
「こんな人もいるんだ」「私と似ているかも」
読んでくださる方にそう感じてもらえたら、単なる導入事例を超えた価値を提供できるんじゃないだろうか。
それに、まだ具体的には描けていないのだけれど、質の高い事例記事ができれば、営業の方々にも活用していただけるかもしれない。営業コストの削減にも繋がれば、一石二鳥だ。
遠回りかもしれないけれど
今回のアプローチは、もしかしたら少し遠回りかもしれない。「そんなにデータ分析しなくても、いい質問は思いつくでしょ」と言われるかもしれない。
でも、私は現在地をきちんと把握してから物事を進めるのが好きだ。それが結果的に、より良い記事や、より良い質問に繋がると信じている。
データと数字を見ながらも、最終的には人の心に寄り添う記事を書きたい。そのバランスを大切にしながら、これからも広報の仕事に向き合っていきたいと思う。
最後に
企業広報の仕事は、本当に奥が深い。技術的な知識も必要だし、データ分析のスキルも求められる。でも何より大切なのは、読んでくださる方の気持ちに寄り添えるかどうかだと思う。
今回紹介した方法は、まだまだ改善の余地がある。でも「データで現状を把握して、戦略を立てて、人の心に響く記事を作る」という基本的な考え方は、きっと他の広報担当の方にも参考にしていただけるのではないだろうか。
これからも、データと人の心、両方を大切にした広報活動を続けていきたい。そして、この記事が同じような悩みを持つ方の何かのヒントになれば嬉しい。
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